2005年08月03日

0 愚者 (The Fool)

0 愚者

大アルカナ22枚の中から最初に紹介するのは、ゼロ番のカード、 "The Fool" です。日本語では「愚者」という呼び方が一般的ですが、わかりやすくいうと道化師とかピエロのことですね。頭の悪い人物というよりは、おどけた人物といった感じでしょうか。


もともとが道化師から来ているせいか、このカードに描かれている人物の衣装もカラフルで派手ですが、道化師というよりは旅人ですね。さわやかな青年です。ポーチをくくりつけた棒を肩に担ぎ、手には白い花を持っています。背後には険しい山々が見えますが、彼が立っているのは崖っぷちのようです。あと一歩踏み出せば、崖の下にまっさかさまに落ちてしまいそうですが、旅人は虚空を仰ぎ、足もとのことなど気にしていない様子です。旅の友の白い犬が飛び掛り、崖があることを警告しているようにも見えます。輝く太陽は、そんな愚者を黙って見つめています。

0(ゼロ)という番号は無番号という意味でもあるようです。1から21までのどこにも当てはまらず、また、どこにでも入れられる。まるでトランプのジョーカーのようですね。実際、トランプのジョーカーのモデルはこの「愚者」から来ているようです。

0であれば、数学的には1の前ということで、22枚の最初のカードとされることが多いのですが、1番目のカードはやはり1番の「魔術師」として、「愚者」は最後に置かれることもあるようです。また、20番と21番の間に置いているデッキもあります。私も「愚者」の順番については明確にはできないと思っているのですが、他の1番から21番までの全てのカードを生み出す種子のようなカードだと思うので、一番最初に紹介することにしたわけで す。(実際には21番の "The World" を先に紹介していますが、「種子」とはある意味で「世界」そのものでもあるので、その伏線として、まず21番のカードをご覧いただくのもいいかと思います。)

愚者は生まれたての赤ん坊のようなものでもあり、実際にこのカードに赤ん坊を描いたデッキもあります。まだ、世界のことを何も知らない無知な若者は、これから旅に出て、この世の様々なことを学ぶことになるのでしょう。を意味する0番の愚者は、この先、どんな色にでも染まることのできる、無限の可能性も秘めているのです。

愚者が旅に出るのは、われわれの住むこの世界の内側とは限りません。この世界の外側にある、未知の世界、あるいは、より高次の世界なのかもしれません。

カード名 0 愚者 (The Fool)
秘密の名前 エーテルの精霊 (Spirit of Ether)
属性 風 (Air)
占いにおける意味 愚者。正直(バカ正直)。無限の可能性。愚かな独断。反体制。家を出る。世俗的な名利を捨てる。狂気。旅人。無知。反社会的。世間知らず。夢想家。
作成日時: 2005年08月03日(水) 00:04:11

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