大アルカナ3番目のカードは "The Empress" です。日本語では「女帝」となります。女帝であれば歴史上実在の人物もたくさんの例があるので、イメージしやすいと思います。
大アルカナ3番目のカードは "The Empress" です。日本語では「女帝」となります。女帝であれば歴史上実在の人物もたくさんの例があるので、イメージしやすいと思います。
女帝といえば、一般的には気の強い女性というイメージもあるでしょう。実際、伝統的なタロットにおいても、そのような一般的なイメージで描かれています。ところが、このウェイト版のデッキに描かれている女帝は、どうも一般的なイメージとはかけ離れているように見えます。ここではその意味を深く掘り下げるようなことはしませんが、名前にとらわれて固定的なイメージを持たないよう気をつけなければなりません。
カードに描かれている女性は、ゆったりとしたローブを身にまとい、椅子に腰掛けています。まるで妊婦のようです。頭には12の星があしらわれた冠をかぶり、手にはセプター(笏)のようなものを持っています。足元には盾が置いてあります。伝統的には鷲の絵が描いてある盾なのですが、ここには金星(♀)のシンボルが描かれています。女帝の周囲には穀物が実り、川が流れ、森が見えます。
いかにも、母なる大地を象徴したかのようなカードです。「II 女司祭長」の説明で少し触れましたが、ユング心理学的に「グレートマザー(太母)」として解釈することもできます。「グレートマザー」と書くと「女帝」という言葉もまた、違ったイメージで見えてきますね。
実在の女帝のイメージから離れて、グレートマザーとしてこのカードを見たときには、神話などにそのモチーフを見出すことができます。例えば、ギリシャ神話であれば「ガイア」、日本の古事記であれば「伊邪那美」といった感じでしょうか。あらゆるものを生み出す母なるもののイメージです。
占星学との関連では、天体の金星に対応します。カードの中にもそのシンボルがはっきりと描かれています。金星は愛情、美意識や芸術、妻、財産など、意外と多様な意味を持つ天体です。カードの中にも、それらの意味がうまく描きこまれているようにも見えます。
「愚者」の旅は、ここでようやく形あるものを生み出す世界にたどり着いたわけです。
カード名 | III 女帝 (The Empress) |
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秘密の名前 | 万能主の娘 (Daughter of the Mighty Ones) |
天体 | 金星 (Venus) |
占いにおける意味 | 美。美貌。芸術。実り。成果。成熟。既婚女性。愛人。人妻。楽しみ。財産。浪費、贅沢。妊娠、出産。繁栄。セックス。リラックス。くつろぎ。 |